ヘリコプター降下訓練

 

 平成12年8月27日(日)に豊川市の陸上自衛隊駐屯地でヘリコプターからの降下を伴う、救助犬の訓練を実施しました。 ヘリコプターからの訓練は3年前に愛知県の防災訓練において、提案書を提出して以来の事で、念願でありました。愛知県、西尾市及び自衛隊の関係者のおかげで実現することができました。ご協力ありがとうございました。

 先進国ではすでにヘリコプターを利用しての災害対応は自然に、また頻繁に行われています。現場へ陸路から入る事ができないときや、現場が遠距離の場合などに有効であり、その特殊性を十分に発揮する事ができます。
  災害救助犬は災害時にガレキなどに埋もれて行方不明になっている生存者の発見をするのが目的の犬です。生存の確率は時間と共に下がります。そのため、災害発生後24時間以内、冬季では12時間以内に発見しなくてはなりません。海外や他府県からの救助犬を待っているのでは間に合いません。災害が起きた時にすぐに駆けつけることのできる、地域に密着した地元で活動のできる災害救助犬チームが必要です。しかし、人命及び犬の命に関わる以上、ボランティアであってもプロでなければなりません。災害に対する深い知識、救助に関する高度な技術及び、人命を尊重する精神を持っていなければなりません。
 実際、当協会が台湾で救助活動を行ったときも移動時に、台湾空軍のヘリコプターで移動をしました。逆にいえばヘリコプターという特殊性から、その装備を保有する機関との連携等が必要となってきます。そこで、当協会は信頼ができ、ヘリコプターの操縦技術が高く、また何よりも当協会に対し理解ある自衛隊のヘリコプターをつかっての訓練を行う事になりました。
 この訓練を実現させるのに、関係省庁、特に自衛隊との交渉には何時間も電話で話したり、地上での降下の訓練を重ねました。
  ヘリコプターから降下するには、航空知識も必要になってきます。幸い当協会のトーマスは飛行機のパイロットをしていましたので、彼から学ぶ事ができました。

 次に降下時においては、ホバリング(空中停止)し、ワイヤーで吊られて降りますが、ワイヤーと体との連結部にハーネスという装備をつけます。これ一つで数十メートルから降りてきますので慎重に選ばなければなりません。

 そのため日本の屋根といわれる槍ヶ岳、穂高の日本アルプスを管轄とする、岐阜県警山岳警備隊の隊員にアドバイスをいただきました。かれらは一年を通して毎日飛び救助活動しています。
 隊員とともに救助犬も降下します。安全に犬を降下させるためには犬用のハーネスを調達しなければなりませんが、特殊な物ですので、自分たちで試行錯誤を繰り返してして、当協会のオリジナルの犬用ハーネスを作成しました。

  

 訓練当日は朝8時、大阪にある陸上自衛隊の八尾基地からBell社のUH−1というヘリコプターが飛来してきました。今回我々はこのヘリコプターで訓練を行いました。

 訓練に備えた訓練を我々は繰り返し行ってきました。いわば頭で考えながらではなく、体が覚えるまでです。協会事務局のガレージでウインチで吊りながら訓練をしてきました。

 当日は訓練同様4人がそれぞれペアになりお互いの装備を点検します。一つずつ、指差確認をします。これが隊員のすべてを支えるわけですから一番大切であり、慎重に行わなければなりません。
 それぞれ各自、自分の装備等に気をつけながらヘリコプターに乗ります。ヘリコプターはマニュアルどおり、安全確認を行ったのち離陸していきます。太い轟音と大きな振動と共にヘリコプターは地上20メートルぐらいまで上昇し、ホバリングします。ここからウインチで降下していきます。
   トーマスを先頭に野口、高須、宮崎と順番に降下します。それぞれ救助犬もウインチにつなげ降下します。救助犬は恐れずに乗りますが、いざ降下するときは降りようとしません。しかし、救助犬はこれが正しいのです。喜んで降りようとする救助犬は現場においては危険です。直接、死につながりますので、犬が抵抗するのは当然です。

   各自が装備しているハーネスをヘリコプターのウインチワイヤーに、カラビナを使い結束します。このカラビナが降下時に体を支えるのです。

 はじめにトーマスとガミーが、続いて野口とチューイ、高須とララ、最後に宮崎が順に降下しました。ヘリコプターの周囲では、轟音で会話が通常のようにはできません。そのため、手での合図を用います。準備完了時や降下開始時、また降下中、地上に着地してワイヤーの余丁を取るまでに至ります。

   常に安全を確認して行っていきます。
四人が順に降下していきますが、この間、ヘリコプターをホバリングしておくにはかなり高度な操縦技術が必要とされます。パイロットの吉田3佐は経験豊富なベテランパイロットで安心して訓練を行うことができました。
 最後に宮崎が、地上に着きすべて無事に訓練が終了しました。
今回の我々のヘリコプターを使った訓練は、何回も、またやりたいときにすぐにできる訓練ではありませんが、とても大切な訓練です。しかし、こうした訓練を行うことによって、現場ではスムーズにヘリコプターを使って救助活動を行うことができます。
今後、こうした訓練を可能な限り続けていきたいと思います。

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