2003年SUMMER赤丸ジャンプ
評価項目の「連載」というのは管理人の勝手な予想でその漫画がジャンプ本誌で連載するかしないかを考えたもの、他はそのままの意味です。評価はどれも1〜5の評価で、大きい数字の方が評価が高い(連載に関しては可能性が高い)となります。並び順は(今ジャンと違い)掲載順で、管理人が判断した面白さの順位ではありません。
脱走屋鉄馬(小林ゆき ストーリー:2、画力:3、キャラ:2、独自性:1、連載:2
感想:題名を脱走屋から奪還屋に変更しても全く違和感がない。ちょっとキツく言わせてもらうなら「るろうに剣心の次はゲットバッカーズかよ」という感じ。画風があっけら貫刃帖の時から大分変わったが、安定していないのは相変わらず。エセ中国風な世界を舞台にしたのはリアリティからの逃げだとも考えられるし、"いかにも"でただショボイだけの敵キャラは、それを倒す主人公の魅力を下げる要因にもなっていると思われる。特殊能力に頼るだけで主人公キャラを創ったり、敵キャラの創りを疎かにすることは今後絶対にやめた方がいい。一応は元連載作家だし、もう少しレベルの高いものを期待していただけに幻滅する気持ちも大きい。
双龍伝(山田隆裕 ストーリー:2、画力:3、キャラ:3、独自性:2、連載:2
感想:前赤丸にのったクルセフィクスはシリアスな話が好きだったのだが、今回のこれは無駄にギャグを混ぜたりでもったいないことをしていると思う。画風も違った方向に成長してしまったみたいだし(この内容に合わせて変えてるだけかも知れないが)、伝えたいだろうと思うことが全て中途半端に終わってしまっている。中でも一番まずいのが太極聖棍の凄さが伝わってこなかったっていうこと。爺さんが使っているときには棍より爺さん自体の方が目立ってるし、主人公の時には使用している時間が短すぎる。この作者にはもう一度自分を見つめ直して、自分に合っている作風というものを導き出してほしい。
SEA SIDE JET CITY(北嶋一喜 ストーリー:2、画力:2、キャラ:3、独自性:2、連載:1
感想:漫画賞の受賞発表がジャンプ本誌に載ったときに編集部がべた褒めだったのでどれぐらいのモノなのかと葛の蓋を開けてみると、金銀財宝ではなく米や大根が出てきたという感じか。化け物でなかっただけマシなのだが、あの編集部のほめ方はちょっと過剰だった気がする。空を飛ぶという人間なら誰しもが憧れる事を対象にした作りは良かったのだが、実際に空を飛ぶ主人公自体の魅力の作り方がイマイチだった。この場面でこいつなら空を飛んでもいいと読者に思わせる飛ぶまでの過程作りが出来ていなかったように思う。だが、空を飛んだときの爽快感は確かにうまく表現できていた。若さもあるし、今後に期待したい。
追加:3つ下の漫画の作者岩本とこの漫画の作者北嶋は誕生日が1日違いだということに気が付いた。
オウタマイ(梅尾光加 ストーリー:2、画力:4、キャラ:3、独自性:2、連載:3
感想:絵の方は大分完成に近づいてきたんではないか、見やすい描き方やダイナミックさを出すコマ割は○。また、ノリやテンポ、笑わせ所の挿入も巧く、見せる方の技術は十分合格なのだが、話舞台の設定や題材がありきたりすぎるのが大きなマイナス。また、主人公が持っているコンプレックスをもっと大きく取り上げて描かないと、最後のそれを克服する際のインパクトが薄れてしまう(特に少年達には伝わりにくい)。歌と踊りのコラボレーションという点は新しくて大変いい試みだが、さっきも挙げた題材、つまりその結果が悪霊退治だというのがベタ過ぎるので、その部分だけを何かに変更してやれば独自性の面では大変おもしろいものができるように思う。
Z−XLダイ(暁月あきら ストーリー:4、画力:4、キャラ:4、独自性:3、連載:3
感想:プリティフェイスを除く今回の掲載漫画の中では、特に秀でているわけではないにせよ、これが一番面白かった。とにかく敵も含めたキャラクタの作りが巧い。主人公の苦悩、ヒロインの持つエクセル嫌いの理由、敵ロボの特徴的な喋り方等しっかりと用意した設定が練り込まれてるなぁと感じた。ただ、改善点がないというわけではない。アクションシーンはグランバガンを彷彿とする余分な線やエフェクト(?)が多く、見づらくなってしまっている。また、所々古臭さを感じる表現があるので、ここが元で読者の評価が下がってしまう可能性もある。驚くべき事にこれがデビュー作なのでもう1、2度様子を見てみたい。
黄金の暁(岩本直輝 ストーリー:2、画力:2、キャラ:2、独自性:2、連載:1
感想:出てくる主人公とメインサブキャラの性格や雰囲気がもろにゴンとキルアなのでオイオイという感じ。また、最初の文句である「世はまさに大発掘時代なのだ!!」っていうのもワンピースのモロパクリだし、年齢といいどうしても矢吹センセイの臭いを感じてしまう。上の評価数値が示すとおりだが、本誌連載漫画にも越えるべき一定の水準があるとすれば(最近は越えてないモノも一杯のってるが…)、この漫画は新人掲載漫画が越えるべき一定の水準をギリギリ超えたというレベル。つまり総合的にまだまだ未熟すぎる。題材が宝石なので例えも宝石にするなら、この作者はまだ発掘前の埋まっている石、どんな石かすら分からない。クズ石になるか輝く宝石になってカットされるかはどんな成分を吸収していくかにかかっているだろう。
HEABY SPRAY(相模恒大 ストーリー:3、画力:3、キャラ:2、独自性:3、連載:2
感想:無理矢理題材を格好良く見せているという感じ。スプレー画がスプレーっぽくないなどが見受けられる所から、作者自身がスプレーの良さを調べたり、理解したりしていないんじゃないだろうか。さらに、主人公のキャラがただの世間を知らない悪ガキになってしまっている。抑制する相方がいるからまだいいにせよ、アレでは主人公のいっていることに読者が頷くに至らない。スプレーへのこだわりが単にペンキやとのライバル関係で築かれているが、もっと別の方向から主人公を動かさないと「ガキのケンカ」で片づいてしまう。わかりにくい題材を扱う度胸は褒めたいが、結局わかりにくいままで終わってしまってはなんの意味もない。
ゲームブレイカー(村中孝 ストーリー:2、画力:3、キャラ:3、独自性:2、連載:2
感想:この内容で遊戯王の高橋和希が描いたらおもしろいものができあがりそうな予感。絵は安定していて読みやすいしキャラクタもしっかり立っている。しかし話の流れが単調すぎて独自性が感じられない。せっかくいい舞台と役者が用意できたのに脚本がダメで全てがボツになっている感じだ。読みやすい絵と、かわいい女キャラという武器はそのままに、ひねりのあるストーリーを作れるようになってほしいと思う。
アシハラ戦記トウタ(ゆきと ストーリー:3、画力:2、キャラ:2、独自性:2、連載:1
感想:以前のバスケ漫画に比べると絵が成長したというよりも無駄にけばくなった例えるならギャル化粧か。ゴチャゴチャした展開と設定にもうんざりなのに、コマ割が小さく嫌な所が余計に気になる。それならば、無駄に費やしているページを削って大ゴマなどで迫力を出してほしかった。ストーリーも先が読めやすくキャラが揃った所で黒幕が分かってしまうのはイタイ。ストーリーのポイントは最後まで黒幕に気付かなかった場合は上記のように3を与えられるが、気付いた場合は2以下に落ちてしまうだろう。画風を矯正し、こちらも先が読めない話作りを磨くべきだと思われる。
red(福島鉄平 ストーリー:3、画力:2、キャラ:2、独自性:3、連載:2
感想:師匠が加治君也らしいのであまり期待はしていなかったが、見る人によっては師匠の漫画よりも面白いかもしれない。DNAを題材にしたことはよかった、がこちらも題材だけで結局ありがちな特殊能力バトルにまとめられてしまっているのが残念だ。あと気になるのが、どうも激しい動きのあるアクションを描くことから逃げているのではないだろうか、そのせいで動きが感じられず絵の連続としてしか捉えられない。話、絵共に全体的なレベルアップが必要。
肉虎!(山田一樹 ギャグ:2、画力:2、キャラ:2、独自性:2、連載:1
感想:今回の赤丸に載っている漫画では唯一のギャグ。ただ、これもよくありがちな勢いだけで笑わそうとするタイプ。しかも舞台が現代で主人公がやっていることがお世辞にも正しいこととはいえないため、読んでいるとだんだん腹が立ってくる。今回のワースト1に間違いない。
プリティフェイス番外編(叶恭弘 ストーリー:4、画力:4、キャラ:5、独自性:3、連載:−
感想:この漫画で最後を締めてくれたことは大変ありがたい。本誌連載寺と同じような流れだったが、逆にこのいつものパターンが安心してよめる要因になっている。人気投票の結果が漫画中に発表されている、まあほとんどの人が想像できる順位にはなっているが、自分的には真鍋が4位なのだけは意外だった。まあお決まりのサービスシーンは、肝心な所はタオルやアワで隠れているモノのこれで最後だといわんばかりにギリギリのモノが多かった。それはいいとして;、全体としてはプリティフェイスをしっかり見ていた読者は、一度でもいいから目を通しておいた方がいいんじゃないかという感じで、立派トリを飾ってくれたと思う。
総評  前回の赤丸ジャンプに比べると明らかにレベルは低い。また本誌に不足しているギャグマンガが少なかったのも残念に思う。また今号から始まった本誌連載漫画の番外編を袋とじにするのは販売促進の面から見ては正解。本屋で観察しているとほとんどの人が本誌番外編だけを立ち読みして、雑誌自体を買っていかないからだ。

 本誌連載漫画の番外編感想、
BLEACH:虚っていうのが既に雑魚として扱われているのがなんか悲しい。
ボーボボあらヤダ、なんか普通に面白くなかったわ。
シャーマン:本誌の連載が終了してからまとめてこの番外編を読むとたぶん結構面白いんじゃないかと思う。今読むと何かネタバレを読んでるみたいでイマイチ。

 最後に、今号は十代の若い新人も複数いるみたいなので、少し…。若い新人の作品をバンバン載せるのは別にいいと思う、が、その後新人をジャンプのために漫画に縛り付けることだけはしないでほしい。特に10代の新人は漫画以外のいろんな事を体験して知識や経験を身に付けないと、どっかの漫画のようにパクリと絵だけの内容の無いものになってしまうだろう。すぐ先の連載を考えての教育ではなくて、将来を考えての環境作りという面で新人を育てていったらいいのではないか。