キユ先生が和月先生のアシスタントをしている!?

そもそもキユ先生とは---キユ先生の歴史入門〜はじめに---
 キユ先生(以下敬称略)は、週刊少年ジャンプ00年34号から44号まで10週掲載された、「ロケットでつきぬけろ!」で連載デビューした漫画家です。10週という掲載数からも想像できるように、短期打ち切り*1で作品は終了となりました。が、掲載時の巻末コメントがあまりにも風変わりだったこと、それを大手のニュースサイトちゆ12歳が取り上げた事もあり、匿名掲示板群2chを中心に話題になりました*2。漫画の内容ではなく、コメントで名を上げた数少ない漫画家といえます*3
*1 通上ジャンプでは短期打ち切りの場合でも12週以上。10週打ち切りなら打ち切りは5,6話が掲載された頃には決まっていたと思われる。 *2 正確には少年漫画板を中心に、キユ信者による通称キユスレが乱立し、立て逃げと削除の嵐が吹き荒れた。乱立は他の板にまで拡大し、多くの2chネラーが信者達の行いに恐怖した。 *3 ロケット〜は単行本の巻末コメントもスゴイ。あと、悲哀に満ちたあとがきも必見である。

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 [週刊少年ジャンプ00年44号巻末コメントより引用]
 今思えば、梅澤先生とキユという、2大ロック漫画家が同じ誌面に連載している、なんと豪華なことだろう。ジンロクはブレーメンの名シーン「デストローイ」の回のブレーメンも切り抜きで持っていたりする…。


 その後01年の28号にて、上記リンクのちゆ12歳で書かれている「STRIPE(ストライプ)」が本誌に掲載されましたが、結局その作品で連載をすることはなく、しばらくの沈黙が続きます*4
 沈黙を破ったのは02年25号、「NUMBER10(ナンバーテン)」の連載開始でした。画力・ストーリー・構成、全てレベルアップした感じがあり、これならしばらくは安定だろうと思っていたところ、8話あたりから急激にまとめに入り、終わってみたらまた10週打ち切り。長いジャンプの歴史を振り返っても、2回連続10話打ち切りを成したのは、キユ1人とみて間違いないでしょう。なお、この連載時の巻末コメントは「ロケット〜」の頃に比べて、かなり標準的なもの*5でした。
*4 ジンロクは次の連載は間違いなくストライプでくると思っていた。 *5 2chの期待はコメントだけに集まっていたようで、かなり落胆した声が各所で聞かれた。しかし、「次こそは、次こそは」と最後までワクワクさせてくれるのは、ロケット〜のインパクトが相当なものだったからだろう。コメントが普通だったのはキユが変わったのではなく、相変わらずボツを喰らいまくっただけだという楽観的な見方もできる。

 NUMBER10打ち切り後、赤マルジャンプ03年冬号にて「ゲット☆ア☆ラック!」が掲載されます。しかし、2週連続10週打ち切りが悪く働いているのか、その後なんの音沙汰もなく、05年に至るまで、読切すら掲載されたことはありませんでした。
 某所では漫画家を諦めた説や、ゲットアラックの主人公のように借金取りに追われている説が流れる始末*6。繁栄を極めたキユスレ群は没落し、漫画関連の板にすら数スレが残る程度にまで…。
 もう駄目かと諦めかけていた時*7、05年9号の武装錬金を読んでいた私は、とあるコマから目が離せなくなりました。そう、それが、

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 [週刊少年ジャンプ05年9号335ページ(武装錬金作中)より引用]

 なんというか、これに気がついた時には1人で狂喜乱舞しました。なによりも、夢を諦めず、アシスタントながらちゃんと漫画を書き続けてくれていたことが嬉しい。こうして、キユは和月先生*8の下でアシスタントをしているのではないかという疑惑、いや、期待が芽生えたわけですが、今回はそれをより確実な確信へと変えるために、色々と検証してみたいと思います。
*6 新人が短期で打ち切られると、雇っていたアシスタントに払うために借りていたお金を、コミックの印税収入で返済することができず、多額の借金ができるという通説がある。本当かどうかは定かではないが、たった1冊のコミックが出る時に、その漫画が誌面にないのが販売戦略上相当な痛手なのは容易に想像できる。 *7 キユの弟がボーカルをしているバンド、スプーンタップが解散した後。バンドのホームページの掲示板には、希にキユについて尋ねる書き込みもあった。 *8 いわずも知れたるろうに剣心の作者であり、現在はジャンプに武装錬金を連載している。彼の下で育ったアシスタントは後に連載デビューしている人も多い。和月組ともいわれ、ワンピの尾田先生、マンキンの武井先生、ミスフルの鈴木先生、亡くなったしんがぎん先生、ノルマンのいとうみきお先生などがいる。 忘れ去られようとしているが、和月先生自身も2作目のガンブレイズウエストという漫画で打ち切りを喰らったことがある。相当落ち込んだようで、武装錬金の初期の巻末コメントなどにもその心の傷が垣間見える。キユにとっても、長期人気連載の経験者でもあり、打ち切りの痛みも知る和月先生は、本当に良い師なのかもしれない。
キユ先生と管理人ジンロク---1ファンの憂鬱---
:検証だけみたい方は読み飛ばし可:
 私、ジンロクがキユ作品と最初に出会ったのは、「ロケットでつきぬけろ!」の連載でした。掲載された作品自体は面白いと思っていましたが、当時は今のようにジャンプの感想は行っていなかった*1ため、打ち切られても「残念だったなぁ」以上の想いはありませんでした*2。同様に巻末コメントも、「変わったことを書く人がいるなぁ」程度、さすがに最終話とその前はビビリましたが…。
*1 開設してしばらく狂心的思想道はコミックレビューサイトでした。 *2 感想を書くと連載漫画に対する想いも俄然違ってきます。普通に読んでいるだけでも応援している作品はありますが、それを文章にして公開しているとやっぱ違います。

 その後当時から少年漫画板の住人だった私は、大多数のキユ信者と同様、巻末コメントの発する不思議な魔力(電波ともいう)に引かれて信者になります。しかし、他板へのキユスレの乱立や、キユAAを張りまくるなどといった過激派信者ではなく、キユAAの作成*3・改造や本スレ(みたいなもの)保守のような穏健派信者でした。
*3 自分のAA作成デビューはキユAAでした。自分の作ったものがどんどん広まっていく感じは病みつきになります。しかし、パソコンを買い換えてからは、作成しなくなってしまいました。

 赤マルに掲載されたストライプで完璧に魅せられた私は、その後ストライプの連載を待つ、長く辛い日々を送ります。しかし、連載になったのは、まるでワールドカップに便乗したかのようなNUMBER10でした。期待していた作品とは違いましたが、アンケートハガキは9話まで毎回送りました。結局願いが通じることなく10週で打ち切られてしまい、アレは最初からワールドカップ向けの短期連載だったんだと脳内補完し、キユは本当はストライプを連載したかったんだと思いこむ*4ことで、やりようのない気分を紛らわしました。
*4 これはまぁ、後に確信に近いものへと変わりました。NUMBER10のコミックを読めば大体の人が理解できるはず。

 ゲットアラックが赤マルに掲載されてから随分立ちます。あれから、ロケットやストライプやナンバーやゲットや巻末コメントを何度読み直したことでしょう。とにかく、私はネタではなくて真面目にキユの漫画に惚れているということです。もちろん、そこらのキユ信者同様、コメントに期待をしているところもありますが、キユの描く漫画本体が読みたいのも紛れもない事実なのです。
 先生自身や関係者がこんな腐れたサイトの、しかも末端ページを見ているとは思えませんが、ちゃんとファンがいるんだということが、どこからか伝わったらいいなぁと思ってます。
 長くなりましたが、結局この項目で何がいいたいのかというと、以下の検証はそんなちょと変わった奴が行いました、っていう注意書きみたいなものです。
検 証---本当にキユの絵か---
:絵的な特徴の一致
 まずは今回の問題のコマをもう一度見ておこうと思います。

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 [週刊少年ジャンプ05年9号335ページ(武装錬金作中)より引用

 このコマを見ただけで、「キユっぽい」と認識できる方ならこのままで問題ないと思いますが、以下に拡大した画像を示し、キユが描くキャラの特徴を私なりに書き出しました。

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 [週刊少年ジャンプ05年9号335ページ(武装錬金作中)より引用]

 特徴1。黒目の部分の描き方ですが、下側に三日月型の白い部分があり、黒目の右側に小さな白い点が描かれていることが特徴です。
 特徴2、目蓋の描き方。二重を表現していると思われますが、真ん中に行くほど上下の線が近くなっています。
 そして特徴3、下くちびる。描く作家さんと描かない作家さんが半々ぐらいだと思われます。現在ジャンプに連載している人の中では、小畑先生・稲垣先生・天野先生・西先生・空知先生・許斐先生・鈴木先生・和月先生・藤崎先生あたりはよく描いています。キユ絵の場合、ほかの先生方に比べて描かれる頻度は高いです。
 おまけ、特徴4。もう雰囲気としか…。私は見て直ぐにピーンと来ましたが、キユの作品を通して読んだことがない人には難しいかも知れません。個人的には、ホイッスルの樋口先生やマインドアサシンなどのかずはじめ先生の絵も同じような雰囲気を持っていると思います。しかしどちらもアシスタントとして絵を描くことはないでしょう。

 ここからは過去のキユ作品の絵を用いながら検証していきたいと思います。
 また作品の紹介も少し混ぜます

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 [週刊少年ジャンプ00年40号、43号ロケットでつきぬけろ!作中より引用]

 まずは連載デビュー作の「ロケットでつきぬけろ!」より主人公ハルタ。このころのキユが描くキャラには、特徴1、3が表れていないことが非常に多いです。右のコマはそんな中、特徴1が表れている珍しいコマです。目蓋の特徴だけはこのころより一切変わっていません。
ロケットでつきぬけろ!:記念すべき連載デビュー作。主人公ハルタがレーサーになっていく姿を描いた熱い作品。後半からのアカギの過去話が非常に深くおもしろい。レースものを描くきっかけになったのは、キユ先生の出身地が三重県であることが関係あるかもしれない。実際コミックのあとがきには鈴鹿でアルバイトをしたことに触れている。ジンロクはこれ以前のキユ作品については読んでいない。赤マルジャンプに掲載された読切などは是非読みたいのだが、次回作がヒットするなどしなければ、短編集の発売は難しいだろう。(作品数・ページ数的にはもう余裕で1冊出せる。)

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 [週刊少年ジャンプ01年28号STRIPE作中より引用]

 続いて、「ストライプ」よりクスリを買いに来た少年。この漫画から、下くちびるが描かれる頻度が劇的に上がりました。特徴1の黒目の部分に関してはこの漫画でもほとんど見ることができません。
STRIPE:基本的にポップで熱い仕上がりが多いキユ作品の中では、浮いている存在だともいえる。主人公マサムネを中心にした3人が、それぞれの職業の特長を生かして悪を裁く話。正確には、悪だから裁くのではなくて、そういう気分だから裁くみたいな設定である。しかし「気分で何々」という主人公達の行動理由がイマイチ描き切れておらず、描かれていたら少年誌としては辛くなるという微妙な作品になってしまった。タイトルのストライプは主人公達の言う邪(よこしま)と架けてある。

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 [ジャンプコミックスNUMBER10中表紙より引用]

 絵柄が大きく変化した「NUMBER10」、中央にいるのが主人公の天馬です。変化したといっても変わらない部分も多く、拡大してもらえば分かりますが、この漫画から4つの特徴が全て揃います。線が圧倒的に綺麗になり、その他演出的な技法に至るまで、今までのキユ絵とは段違いです。私は絵柄などから、このころ既に和月先生の所(ガンブレイズウエスト連載の際)でアシスタントを経験していたのではないかと予想しています。
NUMBER10:ワールドカップに便乗した、させられたとしか思えない作品。アルゼンチンに越してきた主人公天馬が、サッカーを通じて成長していく姿を描く。短期打ち切りだったためかもしれないが、主人公の努力よりも才能の方が強調されてしまいがちになっていたのは良くない。しかし、それでも10話で打ち切られるような内容だったとは未だに思えず、私は10話の短期連載だったのだと信じている。巻末にあるあとがき部分はなぜか次回作予告(邪道マサムネ)に全て使われている。

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 [赤マルジャンプ03年冬号ゲット☆ア☆ラック作中より引用]

 最新作であり、今のところこれが最後の作品となっている「ゲットアラック」。NUMBER10は野郎ばかりしか出てこないのですが、この漫画では女性キャラも出ます。ちなみに、左が運の精ツキ、右が主人公の妹ユカ。髪が白で描かれているツキですが、帽子をかぶっているため、問題のコマの女性との比較ができないのが残念なところです。
ゲット☆ア☆ラック:前世が原因で運のない主人公セージが、運の精ツキとの出会いをきっかけに起こす夢と奇跡の物語。これこそまさにポップで熱い仕上がりの作品といえるだろう。キユ作品なのに萌えキャラ・キユ作品なのにパンチラといった意外性もある。これが掲載された赤マルジャンプの巻末コメントでは、NUMBER10に入れた「予告」の事を宣伝している。

 以上で過去の作品からの比較は終了です。
 ここでもう一度今回の武装練金のコマを。

 
 [週刊少年ジャンプ05年9号335ページ(武装錬金作中)より引用]

 どうですか。特徴は確実に一致していると思います。黒目の描き方が微妙に違うのは、2年の歳月が成した技ということで…。あと、髪型の比較はできそうでできませんでした。画像は掲載しませんが、ゲットアラックのカラー表紙ページのユカの髪が近いかもしれません。



:既知のアシスタント関係からの推理
 現在キユの師匠だった作家は、ロケットが打ち切られた後の巻末コメントなどから、武井先生と冨樫先生が分かっています。武井先生は和月先生のところでアシスタントをしていたことがあることから、間接的ながらキユと面識があるとも考えれます。
 またNUMBER10以降のキユの作品からは、箇所を指摘するまではできませんが、どことなく和月先生の影響を感じたりもします。武井先生のアシ→和月先生のアシの可能性は、十分にあるのではないでしょうか。

まとめ---キユォウ心的思想道---
 検証というよりもひたすらキユを熱く語っていただけの気がしますが、これからも武装錬金の過去の話などからキユっぽさを探したりと、検証は続けるつもりでいます。また、武装錬金をジャンプで読むに当たっても「キユを探せ」的な新たな読み方を提供できたかと思っています。
 この検証ページを読んでの感想を是非掲示板などでお寄せいただくとありがたいです。さらに、335ページのコマはキユじゃなくて○○の絵じゃないか、などといった否定的な意見も理由などを添えて教えていだだければ、このサイトでご紹介した上で、それについての議論も行っていきたいと思っています。

 最後にこの場を借りてキユ次回作の紹介をしておきます。

 
 [ジャンプコミックスNUMBER10巻末次回作予告より引用]
 使ってある言葉だけで少年誌への連載は難しいんじゃないかと思われるが、それでも読んでみたい。3ページ目のキャラは、右からタイゾー・トミー・マサムネとここまではストライプと同じ面々だが、一番左のキャラだけは不明。


 あとがきに使用できる部分を全て、次回作の予告に費やした先生の熱い思い。是非叶えてあげたいと思いませんか? これからも狂心的思想道はキユ先生を心より応援しています。

 しかしまぁ、ここまでやっておいて、あのコマが全然キユとは関係なかったらどうしよう
リンク---もっと知りたい方は---
キユ先生・キユネタなど、もっと詳しく知りたい人のためにリンクを用意しました。

キユリンク ここに行けば以下のリンクもあったりなかったり。
キユコメント コメント一覧。KTR趣味の館様内のコンテンツの一つ。
アシスタント系統図 同じく、KTR趣味の館様内のコンテンツの一つ。
また逝きたいなワールドカップ ファンサイト。
バーチャルネットアイドルキユ全1巻 FinalCountdown様内のコンテンツの一つ。
キユAA置き場 とにかく色々。私が昔作ったAAも密かに置いてあったり。
国際ノンルーフ楽団 キユ先生の弟さんが団長を務める音楽集団。

 ここで直接アドレスを張ったりはしませんが、2chでのキユの歴史を勉強した後、数々のキユフラッシュを見てみると面白いかも知れません。

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