灯心草「とうしんそう」

処方用名 :灯心草・灯心・灯草・灯芯草

基 原 :イグサ科JuncaceaeのイJuncus effusus L var decipiens Buchの茎髄または全草

性 味 :甘・淡・徽寒

帰 経 :心・肺・小腸

効能と応用
1 清熱利水
熱淋の排尿困難・排尿痛・山梔子・滑石・甘草梢などと用いる
方剤例: 宣気散
2 清心除煩
心熱による焦躁・小児の夜泣きなどに、淡竹葉などとティーバックにして茶代わりに服用する。

臨床使用の要点

 灯心草の甘淡・徹寒で、寒で清熱し淡で滲利し、主に心火を清し上部の爵熱を下行
して小便として排出、清熱利煩の効能をもつ。熱証の小便・赤渋熱痛・淋瀝不爽
や心熱煩躁・小児夜躁などに適する。
 ただし、薬力が弱いので、病状が軽浅なときか、他の清熱利水薬の補助として使用する。

用  量 :1.6 〜6g、煎服

中薬大辞典より

トウシンソウ

灯心草【開宝本草】

〈1〉全形
〈2〉花序

灯心草薬剤


【異名】虎鬚草(コシュソウ)、赤鬚(セキシュ)、灯心(トウシン)、灯草(トウソウ)、碧玉草(ヘキギョクソウ)、水灯心(スイトウシン)、鉄灯心(テツトウシン)、猪矢草(チヨシソウ)、洋碑洞(ヨウハイドウ)、灯芯草(トウシンソウ)、虎酒草(コシュソウ)、等

【基原】イグサ科の植物、灯心草(トウシンソウ・和名)の茎髄、または全草。

【原植物】イ Juncus effusus L. var. decipiens Buchen
多年生草本で、高さ35cm〜100cm根茎は横走し、多数のひげ根がある。茎は円筒状で、直経1〜2mm、表面に明瞭な筋があり、淡繚色。茎葉はなく、基部に鞘状の葉があり、葉の長いものは淡赤褐色、短いものは褐色か黒褐色で、光沢がある。複合集散花序は、仮側生し、多数の小花が密集して束になる。花は淡禄色で、短い花柄がある。花被は6枚で、2輪、裂片は披針形、長さ2〜2.5mmで、背面は栗毛におおわれ、周辺は膜質で、縦脈が2本ある。雄しべは3本で、花被より短い。子房は3室あるが、花柱は明瞭でなく、柱頭は3個。葫果は卵状三稜形か楕円形で、長さ約2mm、先端は鈍形で、淡黄褐色。種子は多く、斜卵型を呈している。開花期は5〜6月、結実期は7〜8月。湿地や沼地周辺に生える。分布は中国の全国各地。本植物の根と根茎も薬用にされる。

【栽培】
気候土壌
温暖湿潤の環境を好む。土壌は肥沃な粘土と粘質壌土が比較的よい。一般には肥沃な水田に栽培される。
繁殖
株分け繁殖。四川地区では12月か1月に植える。まず田を耕し、人畜糞尿を施し、土を細かく砕き平らにしてから、古い株を掘り起こし、1束が8〜10本になるように分け、水稲を植え付けるように、条間・株間各33cm〜45cmごとに、田に植え付ける。
耕作管理
3〜4月に新苗が出てから、草を抜くときに、古い株を泥の中に踏みつけて入れ、あわせて追肥を行う。肥料は人畜糞尿を主とする。6月中に、再度除草し、追肥を1度施す。以後は、田に常に浅く水がある状態を保持すれば、生長によい。このようにして3〜4年連続収穫したら、株を掘り起こして別に植える。

【採集】
秋。茎部を切り取り、日干しする。または茎皮を縦に裂いて皮を取り去り、随をと
り、日干しする。

【薬剤】
乾燥した茎髄は、細長い円柱形を呈し、一般には長さ50〜60cmだが、1m以上に
なるものもある。表面は乳白色ないし淡黄白色、あらく、細かい縦溝がある。拡大鏡で観察すると、表面に多くの糸状のものがあり、互いに交差して網状になり、もっとも外側の部分は短毛状を呈していることが多い。質は海綿のように軽く柔らかく、やや学力性があり、切断しやすく、断面は平坦でなく、白色。においはかすかで、味はうすい。色が白く、長く、きめが揃い、弾力性のあるものを良品とする。産地は、江蘇、四川、雲南、貴州など。四川に産する灯心草は、外皮を剥ぎ
取ったものを灯心といい、外皮をとらないものを灯草という。また同属植物の野灯心草などもまた灯心草として薬用にされる。

【成分】茎髄は繊維、脂肪油、タンパク質などを含む。茎は多糖類を含む。

【炮製】《灯心炭》灯心草を鍋の中に入れ、やや直径の小さい鍋で蓋をし、白紙を
貼り、2つの鍋の接するところを塩泥で封じこめ、空気がもれないようにし、白紙が黄色くなるまで強火で焼き、火を止め、十分冷めてから取り出す。《朱灯心》適宜切り揃えた灯心に、水を散布して少し湿らせ、磁器のかんの中に入れ、朱砂の細末を加えて、朱砂が均等に混ざるまで何度も振る。

【性味】甘淡、寒。

【帰経】心経、肺経、小腸経に入る。

【効用と主治】心を清める、火を降ろす、利尿し淋を通す、の効能がある。りん病、水腫、小便不利、黄痘による湿熱、小児の夜泣き、扁桃腺炎、創傷を治す。

【用法と用量】
く内服〉 5〜8分(新鮮なものは0.5〜1両を単用する)を前じて服用するか、丸剤か散剤にする。
く外用〉薬性を残す程度に強火で焼き、研って粉末にして、散布するか、のどに吹きつける。

【配合と禁忌】
虚寒の者は収用に注意する。
中寒で小便不禁の者は服用してはならない。
気虚で小便不禁の者は服用してはならない。


トップページ技と心工程蝋燭伝来芯の製作蝋の製造蝋燭一覧地図