松井和蝋燭と西洋蝋燭を見た後の脳波、心拍の変化

名古屋大学大学院生命農学研究科 富岡利恵


100%国産ハゼの木の実の木蝋を使っている和蝋燭と、市販されている合成蝋が原料の西洋蝋燭とで、それぞれの灯を3分間見る前後での脳波と心拍の変化を調べた。

試験日時:
2014年8月21日 11時から14時

場所:
愛知県岡崎市十王町2丁目33番地 松井本和蝋燭工房

試験方法:
蝋燭の灯を見る前(Pre)、洋蝋燭の灯を3分間見た後(west)、和蝋燭の灯を3分間見た後(Japanese)に脳波(Brain Pro FM-828,FUTEK社)、心拍(パルスアナライザープラスTAS9,(株) YKC)を測定した。

被験者:60代男性 3名




被験者:MT

θ、α波の電圧値がβ波よりも高いので、全体的にリラックスしていたと考えられるが、西洋蝋燭と和蝋燭をそれぞれ見た時の脳波の違いは明確ではない。また、西洋蝋燭を見た時よりも和蝋燭を見た時の方が電圧値が低く、β波の含有率が高くなる傾向にあることから、和蝋燭を見て脳が活性化していると考えられる。


被験者:A

θ、α波の電圧値がβ波よりも高いので、全体的にリラックスしていたと考えられるが、西洋蝋燭と和蝋燭をそれぞれ見た時の脳波の違いは明瞭ではないが、2回目に和蝋燭を見た時にα1波が1回目の和蝋燭、西洋蝋燭を見た時よりも電圧値が高く、α波含有率が高くなる傾向にあった。


被験者:B

θ、α波の電圧値がβ波よりも高いので、全体的にリラックスしていたと考えられるが、西洋蝋燭と和蝋燭をそれぞれ見た時の脳波の違いは明瞭ではなかった。


3人のうち、2人(A,MT)で西洋蝋燭を見た時よりも、和蝋燭を見た時の方が心拍数が低くなっていた。
<SDNN(身体調整能力を示す)>
・西洋蝋燭を見た時よりも和蝋燭を見た時の方がSDNN値が高くなる傾向
<RMSSD(心臓に関する副交感神経の活動)>
・ 西洋蝋燭を見た時、急激に減少する傾向。
・ 和蝋燭を見た時、高くなる傾向。
<pNN50(自律神経の活動度)>
・ 蝋燭を見ると、値が高くなる傾向。
・ 心拍数の減少が見られた2人では、和蝋燭を見た後に値が高くなっている。

結果のまとめ

・ 和蝋燭を見た後と、西洋蝋燭を見た後とで、脳波の違いは明瞭ではなかった。
・ 心拍変動解析から、和蝋燭を見た時に西洋蝋燭を見た時よりも心拍数の低下が2人の被験者で明瞭に見られた。この2人について、心拍変動の時間領域分析の結果から、副交感神経の活動度が優位性を表すRMSSDとpNN50の値が和蝋燭を見た時に高くなっていた。心拍数の低下と副交換神経活動の優位性が増していることから、和蝋燭を見た時、被験者がよりリラックスしていたと考えられる。
<今後の課題>
・ 和蝋燭と洋蝋燭は原材料や製作方法の違いによって灯の質が異なることが分かっている。本試験は日中の明るい室内で行ったため、その灯の違いを視覚的に捉えにくかったことが、和蝋燭と洋蝋燭の脳波への影響が不明瞭となった1つの要因かも知れない。
・ 被験者の数、年齢層、性別が限定的ではあるが、本試験から和蝋燭を見た後の方が洋蝋燭を見た後よりもリラックス効果が高い可能性が示された。より明瞭に効果を調べるためには、今後は被験者の対象範囲を広げること、異なる試験条件で行うこと、開眼時における脳波の測定等が必要と思われる。

 
名古屋大学大学院生命農学研究科 富岡利恵

 

 



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