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~杭全神社(くまたじんじゃ)・全興寺(せんこうじ)~

杭全神社 絵ものがたり 絵解きがたり

 「阿部先生。今度、大阪平野の全興寺に絵解きに行くんですよ。」

 絵解き座学術担当として活躍する桝田氏の一言が発端だった。阿部先生のお返事はこうだった。

「以前に複製を作った、平野の杭全(くまた)神社所蔵の十幅もある大作の聖徳太子絵伝。あれはもともと全興寺のものなんですよ。ぜひ、全興寺さまで聖徳太子の絵解きをおこないたい、と御住職にお伝えください。」

なんと不思議なご縁か。驚きとともに、阿部先生の志を受け止めた桝田氏は、事前に全興寺御住職にメールで阿部先生の想いをお伝えしておき、3月30日の絵解き当日を迎えた。

「御住職、本日はよろしくお願いいたします。それから、名古屋大学の阿部先生の件ですが…」

「ええ、その件ですが、ぜひ杭全神社と全興寺、共同でおこないましょう。」

なんとなんと! 驚くべき快諾のご返事をいただき、その後お話しはとんとん拍子に進んだ。阿部先生と桝田氏が平野へ足を運び、由緒ある杭全神社の連歌所にて、宮司様と全興寺御住職に暖かく迎えられ、具体的な実施に向けての話し合い。平野に伝わるすごい宝物を、誰よりも平野の方々に知っていただきたいという阿部先生の真っすぐな想いが、今回の「絵ものがたり 絵解きがたり」開催へと導く大いなる羅針盤となった。

 会場については、より多くの方にお入りいただける杭全神社さまに。また、全興寺さまに伝わる秘仏の聖徳太子二歳稚児像も、当日に限り特別ご開扉が決定。あとは、7月27日の当日に磁石にひかれるようにお集りくださる皆様に十二分な満足を与えられるように、研鑚あるのみ。何より、令和三年(寺院によっては四年)に控えている、聖徳太子一千四百回御遠忌に向けて、改めて日本に住むすべての人々のために、聖徳太子の偉大さをお伝えするという使命を、わずかなりとも果たせれば、と想っている。

 日本から、聖徳太子の「和の心」を世界に。日本が世界平和の要(かなめ)となることを祈って。

❏ 共 催 ❏
平野郷惣社 杭全神社
大阪市平野区平野本町二丁目1-67
06(6791)0208

野中山 全興寺
大阪市平野区平野本町四丁目12-21
06(6791)2680

名古屋大学人文科研究科附属
人類文化遺産テクスト学研究センター