砺波平野から五箇山への入口にあたる、井波別院瑞泉寺と城端別院善徳寺は、越中の歴史文化を代表する古刹であり、それぞれ個性的な町を象徴する伽藍を誇ります。その両別院を象徴するのが、夏の太子伝会と虫干法会です。そこで営まれる聖徳太子と蓮如上人の御絵解きは、共に行事の中心ですが、日本仏教の元祖なる太子と真宗興隆の祖師なる蓮如上人の生涯を、絵伝を前に物語る“絵解き”は、仏教の伝来と共に受け継がれてきた布教と娯楽の芸能として、今に生きる貴重な“絵ものがたり文化遺産”なのです。
この度、両別院が共同で開催する「南砺絵解きフォーラム」は、その法会行事の期間中に、両別院の伝統ある絵解きを互いにコラボレーションします。さらにゲストとして、太子伝絵解きのルーツ、大阪四天王寺から聖徳太子絵堂の絵解きを担う担当の役僧、現代社会に仏法布教の絵解きを復活させる活動を繰り広げる三河すーぱー絵解き座の座長と座員に絵解き公演を、そして砺波の真宗文化の中での絵解き伝統の意義について太田浩史さんに講演をお願いしました。
このフォーラムを通じて、南砺の皆さんに、絵解きという伝統メディア文化の面白さ、奥深いその魅力を共に感じとって戴ければ幸いです。