活動記録

唯然寺永代経(出向報告)

 4月22日(日)に名古屋市中川区露橋に在ります唯然寺様へ左右田が出向いたしました。法要としては春の永代経になります。
 さて、お話をしましたのは親鸞聖人のご一生を綴った御伝鈔とそれに基づいて描かれた御絵伝を用いた絵解きであります。この掛け幅は全四幅あります。これら絵伝の三幅目と四幅目を持参して午前と午後のそれぞれ一座づつ計二座を務めてまいりました。
 テーマは「老いと孤独の淵にて」としました。画材である親鸞絵伝三幅目の始まりは承元の法難であります。承元元年二月上旬に「念仏停止(ちょうじ)」の院宣が下りまして、充実した吉水・法然上人門下での親鸞聖人の生活は、にわかに暗雲が垂れ込めます。これを契機として子弟の別れと上足のお弟子方の斬首となります。この一連の出来事に深く関わる人物が後鳥羽上皇でありました。一方で時を経た後鳥羽上皇の最期は、隠岐の島に流されひっそりと息を引き取るといった結末を迎える。権勢を振るった人物の光と影を取り上げます。このとき上皇の身に起きた環境の変化と自身に迫り来る老い、そして都からの距離以上に感じられる孤独の中で上皇は崩御される十日前に筆を染めて「無常講式」という書物を残しました。この第二段に注目し、上皇と熊野参詣さらには同じ熊野参詣を綴った「平太郎」の段との因果関係をお話しし、課題である「老いと孤独の淵にて」へと問題を修練させて参りました。興味がありましたら、また小住の同段をご聴聞ください。
 最期になりますが、絵解き座の出向に興味を寄せて下さり、遠路はるばる春日井市よりお越し戴きました 渡邊麻由美様 には感謝を申し上げます。大変なごやかに同席する先輩方と談笑をしてくださる姿が、お寺に足を運んで下さる若いお嬢様のこころの有り様を垣間見たようで、私の心にも一陣の清々しい風が吹いたのを記して筆を置きたいと思います。またのご縁を念じ申し上げます。(文責:左右田智世)

合掌

2018年唯然寺さま永代経

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